この背中に爪を立てて
」のレビュー

この背中に爪を立てて

西本ろう

ズルい大人たちと真っ直ぐな若者

ネタバレ
2022年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●「ダメな男たちと女」とも言えるかな…ヒリヒリした感情が絡み合うストーリーでした。不倫モノがどうしてもダメというかたはお読みにならない方がいいですね…がっつり不倫なので。
●作者さんの作品初めてなのですが、絵も素敵です。本文も表情や身体つきが良いですが、まず表紙の眼差しと色気にやられました!指輪を外して、歯を立てて齧ってるのが意味深で好きです。
●ホントダメな男ばっかりで…。店長は義孝が自分に未練あるって多分気付いてるのに、いやらしく口の中に指入れたりして…。歩と義孝の間に何かあったと分かっても、歩に「義孝はやめとけ」なんて啖呵切ってみたり。“義孝の面倒見られるのは俺だけだろ”、みたいな優越感のようにも見えます。
●義孝はピュアなのかな…自分の感情、愛情に正直。だからこそ店長にはいつまでも甘えてしまうし、美穂(妻)に対しては鈍感でいられて、歩のことは遊びのつもりだったのにまっすぐ愛されて簡単に揺れてしまう。ダメ男…。妻をそのままにして、歩に対しては「好きあってるのになんで今のまま幸せを求めちゃダメなの」なんて、子どもみたい。
●そんな義孝に歩が最後に言ったことはキレイゴトのようにも思えます。でもそんなキレイゴトを真面目に考えて、きちんと言葉にして伝えて、(一旦)別れを選ぶことができる歩は、やっぱり本当に義孝のことを愛してて、だからこそ義孝にも伝わったんだろうなぁ…と思いました。
●不倫モノですが、ちゃんとケジメはつきます。そうさせたのは、歩のまっすぐな想いだったのかなと思います。どうか結末まで見守ってあげてほしいです。
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