まことしやかに舞う花は
」のレビュー

まことしやかに舞う花は

束原さき

描き下ろし…

ネタバレ
2022年2月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●作者さんの絵に一目惚れして、最初に購入したのがこちらの作品でした。(この後にも何作か拝読しています。)本当に綺麗な絵ですが、表情があまり変化しないので、淡々とした印象になりがち。それがこちらの作品には合っていたかもしれないな…とは思います。
●戦中戦後の時代背景。幼い頃の二人はとても無邪気で、颯太朗は素直に春臣をかわいいと言い、春臣は颯太朗を想って踊る。でも幼心に「この想いはダメだ」と先に気付いたのは春臣でした。颯太朗とは住む世界が違うと子どもなりに理解して、気持ちを隠そうとするのが切ない…
●颯太朗は自分の言葉が春臣を怒らせたんだと思っていて、ただ謝ろうと春臣に近付くけど、自分の気持ちには無自覚だったのか、無意識に蓋をしていたのか。一緒に過ごす時間が増えて、春臣が好きだと自覚できても、いろんなものが邪魔をして伝えられない。簪を介して視線を交わらせるだけの二人。
●家柄の違い、男同士だということ、颯太朗にあてがわれる婚約者、戦況の悪化…ようやく想いが通じ合うのは颯太朗の出征の直前。そして別れ。いつまでも戻らない颯太朗を待ち続ける春臣。
●初めに「表情があまり変化しない」と書きましたが、ようやく帰還した颯太朗に会えたときの晴臣は、きっと声を上げて泣いているのだろうな…と感じられました。困難はあるでしょうが、これからはどうか二人で穏やかに暮らしてほしい。
●しっとりとしたストーリーだったので、描き下ろしもその路線で幸せな二人を見たかったですが…急にファンタジックコメディ?そのため読後感は「えぇ…?」という感じになってしまいました…ここは目を瞑って★5で。
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