のぞき、のぞかれ【描き下ろし漫画付き特装版/シーモア限定おまけ付き】
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のぞき、のぞかれ【描き下ろし漫画付き特装版/シーモア限定おまけ付き】

せんみつ

“視線”と“笑顔”が印象的

ネタバレ
2022年2月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●作者さんの作品を拝読するの3作目です。どれも結構キワキワの題材なんですけど、お話もキャラクターも淡々としているので、さらっと読んでしまいがち。でも噛み締めるたびにじわじわ味が染み出してくるような…いつもそんな感じです。
●トータル約140P。あらすじに河合を「ドS」って書いてありますが、どちらかというとMでは…(口と態度は悪いですが。)いやでも蜂谷の方がMなのかな…?って書いてはみたものの、そこにこだわるようなSM要素は出てきません。(すみません)
●こちらの作者さん、「視線」に湿度があるというか、特に本作は「のぞき」がキーになるので、じっとりとした目がすごく印象的です。本能剥き出しで自分を見る蜂谷の目に、ザワザワしてしまう河合。友人たちにsexを覗かれ笑われた過去、それがトラウマでもあり、性癖にもなってしまっている。でもいつの間にか、蜂谷の目にしかゾクッとしなくなって…
●「笑う」という行為もこの作品では印象的に扱われているなぁと思います。自らを嘲笑うような乾いた笑いや営業スマイルしかなかった河合が、蜂谷に自然な笑顔を引き出される。そんな自分に驚いて、また笑う。一度だけ蜂谷の方が仮面のような笑顔を作ったシーンがあります。河合は、自分が蜂谷にそんな顔をさせてしまったって気付けたかどうか。
●蜂谷が特別河合の身体のツボを知ってるわけじゃないよ、きっと。そこに「好き」があるから、河合も気持ちいいんでしょ。心が通って、息が合って、視線が絡むから、気持ちいい。恋愛初心者の河合に、素直で正直な蜂谷が、いろんな感情を与えてくれる。1巻まるまる使ったツン→デレ。味わい深いお話でした。
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