いとしい君に愛を乞う
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いとしい君に愛を乞う

宇奈月香/園見亜季

拗れた恋の行方

ネタバレ
2022年2月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大成功した起業家26歳×社長令嬢24歳。誤解からヒロインを沢山傷つけてしまったヒーロー。完全無欠の従兄と恋愛関係にあると誤解し、別居していた彼女と強引に関係を持ったこと。大学生の時に二人の仲を引き裂いた母が五年後になって経営不振の会社を立て直すため成功者となったヒーローに娘を売ったこと。ヒロインに振られ荒れていた大学生の時に取り巻きと一夜限りでも関係を持ったこと。この三点が主なる原因となり話が進んでいく。半年間の結婚生活は「お前を買った」と言ったため振舞い方が分からず、初夜も途中で切り上げた後はひたすら冷遇するヒーロー。何をしても悪いようにしか解釈されず、傷つけられ孤独を感じるヒロイン。「関係を解消」すると告げられた直後に遭った交通事故で全治7ヶ月の怪我と心因性失声症を患う。彼に対してだけ言葉を紡げなくなったヒロインが本当に可哀想だった。退院して3ヶ月経ち離婚届を送付したことで運命が動き出す。ヒーローは言葉選びが最悪で「関係を解消」は離婚ではなく歪な関係を解消したいという意味だったなんて誰も思わない。彼女が風邪で寝込んだ時も冷たい言葉をかけたから、こっそり看病してたことを知らないヒロインを寝室から追い出しちゃったし…。過去に関係を持った昔馴染みの女が親友と一緒にいる時に初夜の失敗談をしたことで脅迫の材料を与えちゃうし…。若さ故に深慮不足な人がよく大成功を納めたなと思う。冷遇されていた頃と再会したての頃のヒロインの心境を読んでいる間は切なすぎた。結局五年間離れていても大好きな気持ちはお互い変わらなかった(彼は振られた後に何人か一夜限りの関係を持った人がいたのがちらつくけど…)し、ヒーローが必死に愛を乞う姿に絆されたことで元の鞘に収まることができた二人。自分を恐喝してた知己の女性にも許しを与えちゃう彼女は善意の塊でできてるのかも(苦笑)
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