国宝のお医者さん
」のレビュー

国宝のお医者さん

芳井アキ

繋ぐ仕事。

ネタバレ
2022年3月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 奈良が舞台、国宝修理装潢師のお話ということで興味津々で読みました。奈良大好きなんですよ!
文化財の修復を行う装潢師さんの話題がニュースやドキュメンタリーで取り上げられることもあるので何となく知っていますが、特別な技術をもつ匠達の入り込めない特殊な世界のイメージ。
五条さんそして学芸員押海さん達を見ていると印象が全く変わりました。
五条さんが修復するのは個人蔵の掛け軸や泥だらけになった手紙。誰かが大切に想いそれを次の世代に残したいという気持ちがあるからこそ装潢師がいる。作者の芳井先生はタイトルの「国宝」それは人々の足跡と書かれていました。
文化財修復のサイクルが100年だそう。点と点を100年繋げる作業、それが繰り返し繰り返し行われて来たから私達は何百年も昔の人達が残した"知の遺産”に触れることが出来る。知る権利を奪わないというモノローグは感動した。当たり前すぎて意識したことも無かったな〜守ってくれる人がいることに感謝。
特に簡単に奪われてしまうニュースを毎日聞く今、余計沁みますね。
ひとり黙々と作業する孤独な仕事かと思っていましたが、人を繋ぐための想いで出来ている仕事なんだなと。どんなに技術が発達してもそれは人間にしか出来ないですよね。
あと漫画で読んで知ることの良さを改めて実感。丁寧な絵と気取らないどこにでも居そうなキャラクター達のおかげで、こういう特殊な仕事だけど親しみやすく感じたし読みやすかった!奈良に行ったら「国宝」を守ってきた人達の想いを想像しながら巡りたいなって思いますね〜。
出てきた奈良スイーツもチェックしたい!
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