このレビューはネタバレを含みます▼
●シーモア島でオススメされているのを拝見しなければ、立読みさえしなかったと思います。感謝です。その立読みで、私は絶対読んでみたいと思いました。(明星のビジュアルにギョッとしたのは否定しませんが…)あらすじや立読みで明星の言ってることに嫌悪感を抱いてしまうかたは、読むのがつらいかもしれません。そういうかたにはあまりオススメできませんが、もし読まれても否定はしないでほしいな…と思ったりもします。
●「もう十分生きたからあとは自分で決めたタイミングで死にたい」という考え方。私はこれにかなり同調できるので、読んでいてハンマーで殴られたり胸の奥をぐしゃっと掴まれたりするような感覚がして、1話からインパクト強くて頭抱えました。
●明星は本当は弱くて寂しがり屋で、もう“残され”たくないって思ってる。心が動いてない。動かすことが怖い…のでしょう。自己満足的にやりたいことやって、もういいやって終わろうとする。そこで出会った久永の存在は、誤算だったと思います。
●なぜか自分を生き存えさせようとする。自分のために涙を流す。そんな久永に、明星の心が動いてしまう。この人を好きだと思ってしまう。それは明星にとってはとても怖いことだから、必死に隠そうとする。
●死に方を迷いだした明星に対して、そんな顔で死ぬなんて許さないと言った久永の覚悟がすごいです。明星の考え方を丸ごと尊重して、明るい死に向かってもらうために行動し始める。自分が“残され”ることを受け入れようとする。だから、抱かれることにした。
●ホテルでの二人のやり取りと、それぞれの心の中のぐちゃぐちゃがもう、強烈で切なくて…涙腺が…。そしてリバですよ…この二人、全然違和感なくて不思議です。お互いの大事なものを、時間を、尊厳を、分かち合えたからなのでしょうか。
●作者さんは…ご自身が“死ぬこと”についてめちゃくちゃ考えたことがあるか、もしかしたら簡単には割り切れない死が身近にあったのではないかと想像してしまいます。死について、生き方について、あらゆる考え方を許容してもらえているような作品でした。拝読できてよかったです。(レビュー長くなってしまってすみません…)