神様と飛べない使い
」のレビュー

神様と飛べない使い

hagi

優しい物語(BLかと言われると…?)

ネタバレ
2022年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●総272Pの大ボリュームですが長くは感じなかったです。作者さんの『こいにも〜』が大好きで、本作も気になっていました。
●黒く小さく不揃いな羽の飛べない神使シン。もうこの設定と、立読み部分のシンの心中を想像するだけで泣けてしまう。そんなシンが使わされるのが大きな毛玉の神様。
●えっ毛玉…?と思うなかれ、喋りませんが感情表現豊かです。とても優しい目をしている。小さな手と大きな体でシンを包んでくれる。この神様が食べるのは誰もが忌み嫌う「澱み」。神様もまた、異端者でした。
●清らかな場所での生きづらさを抱える小さな二人が出会う。シンは幼い神様にバクと名付けた。大きくなって再会した今、シンの記憶はほぼ無く、神様も何も言わない。だけどシンは、今も隔たりなく神様と接し、また同じようにバクと名前を付けるのです。
●幼い頃からこれは淡い恋心だったのかもしれない。お互いに。バクは勝手です…「シンのためを思って記憶を消して置いていく」なんて、神様の職権濫用ですよ!そして今またシンから離れようとする。死のうと…していたのかもしれない。でも、今度こそ一緒にいるんだというシンの想いの方が一枚上手でした。
●ちょっと残念だなと思ったのは、シンの記憶の復元が全て別の神様の術のおかげというところ。一部でもいいから、何かバクとの対話や関わりの中で記憶を取り戻してほしかったな…
●BL要素は無いに等しいですが、それでいいかなと思ったりします。神様と使いが心を通わせる優しい物語。バクがこのまま主様の山にいるのは体質的に難しかったのかな。でも、きっと幸せな旅路になります。(→『Canna 10th Anniversary』(分冊版もあり)に、後日譚が10P掲載されています。)
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