ラスト・オメガバース【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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ラスト・オメガバース【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

晴川シンタ

寄り添うふたり

ネタバレ
2022年3月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●総221Pなのですが、短く感じました。大ゴマ多いからかな…?テーマの割には複雑なストーリーではないからかもしれません。それでも二人の感情の動きにぶんぶん引っ張られた感覚です。
●絶滅したはずの世界で生まれた突然変異のαとΩが雨の中すれ違って…というセンセーショナルな出会いのシーン、すごく好きです。バクバクと胸が高鳴る。後半同じようにすれ違う場面があります。目を逸らす犬飼の背中に綾瀬が呼びかける。ここも良かったです。
●お話としては「Ωだから(αだから)惹かれただけなのか?」という不安を、お互い言葉を尽くし身を挺して「そうじゃない」と証明する…というオメガバースではよく見る感じでしょうか。そこに“世界に二人しかいない”というスパイス付き。
●二人が否定したいと思ってるのは本能であって運命ではない。本能のみで惹かれてるわけじゃないんだと、この想いは本物なんだと願いつつ、出会いは運命だったと確信してる。それがいいなと思いました。「自分だけが普通じゃない」って、本当に孤独だと思います。その孤独を分かち合える相手に出会えた安心感は計り知れないだろうなと。
●最後の…という設定ですが、二人が突然変異のαとΩならば、もしかしたら世界の片隅に同じように苦しむ人がいるかもしれず、彼らのデータなり薬の開発なりがその人たちの救いになればいいなぁ…などと想像したりもしました。突っ込みどころもなくはないですが、良かったです。
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