このレビューはネタバレを含みます▼
ずっしりとした内容の作品でした。作品の内容ともんでん先生の作画が とても マッチしていて、まるで 映画を観ているような錯覚に陥りました。不幸な生い立ちのヒーローが もがき苦しみながら 生きていく様子は 辛く重いものであるのは 当然なのですが、 色々な女性とせっくsを繰り返すのは まるで 母親を呪うかのようで、彼女たちには 快楽とともに安らぎを与え、彼女たちの幸せのひとかけらとなっていくように思えたのと同時に 彼が 唯一 知っていた苦悩から解き離れる方法(たとえそれが ひと時であったとしても。)だったのではないかと思いました。そして、 ”ふつう”にこだわり、自分は ”ふつう”じゃないと(六本の指を生まれ持っているから)思い込んで、生きている様が とても哀れに見えました。六本目の指を切断した後でも ”ふつう”じゃなかった自分を 忘れないようにと生きていたように思います。最後の義理の娘をかばっての死なのですが、彼女が イギリス人の元彼の恨みが原因で 亡くなったり、亡くならなかっても、彼女の人生の大きな汚点にならないように 自分が 彼女を守るんだ(それは 多分、彼の母親のように男が原因で そういう不幸なことが義理娘には起こって欲しくないという一心だったと解釈しました。)と思っていたと思います。彼の死は そういった意味で 彼の人生の中で、最高に幸せの時間だったんじゃないかな、と思うと同時に 義理娘は、彼が守りたい、助けてあげたいと思う最後の女性だったと思います。なお、タイトルのブルースは、音楽のブルースのことならば、人生の悲しみや憂鬱をうたったものであるから、この作品こそが 博人のブルース、なんだろうな、と しみじみ思いました。