人嫌い公爵は若き新妻に恋をする
」のレビュー

人嫌い公爵は若き新妻に恋をする

春日部こみと/蜂不二子

長い片想い

ネタバレ
2022年4月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 王弟公爵27歳×侯爵令嬢18歳。5歳の時に王宮内で迷子になったヒロインは迷路園で″薔薇の妖精の王女様″に出会う。人知れず逢瀬を重ねるうちにキスを贈られる仲になる。時は過ぎ、王太子の婚約者として過ごしていたある日。王太子に一目惚れした帝国の皇女の降嫁が打診され、婚約破棄の憂き目に遭ったヒロイン。しかし翌日には『人嫌い公爵』との婚約が決まり、皇女の降嫁前に急いで結婚する必要ができた。顔合わせで会った公爵は、少年時代から女性に言い寄られていただけある美丈夫。恋愛対象が女性と思っているヒロインでもその美貌に圧倒されるばかり。王命で翌週には結婚式をすることになり全てを粛々と受け入れるヒロインが漢前。婚約破棄から半月後に新たな婚約者と結婚し、濃密な新婚生活が始まるなんて誰しも想像もできなかっただろう。初夜でキスを受け、はにかむような少年めいた笑顔を見た時に既視感が脳裏を過る。結婚初日から愛情を惜しみなく伝えてくれる彼の可愛いところを見つけてはキュンとするヒロインが可愛い。ありのままでいいと言って貰えたことで自我を開放できた喜びは人潮だろう。十数年社交界から遠ざかっていた公爵が新妻の御披露目の場として夜会に出席したのだが、予定外の王太子夫妻が登場したことで波乱が起きる。王命に近い形で王太子妃の教育を任され、公爵との生活を守るため応じたヒロイン。言葉が足りず擦れ違ったまま離れ離れでの生活を送る二人が切ない。皇女の教育で結果を出したヒロインに戦友の関係に近い王太子がくれたヒント。女性だと思っていた妖精の王女は14歳にして類いまれなる美貌の持ち主だったヒーローだった。初恋相手である彼女を婚約者に据えた王太子をいびったら、意趣返しで幼女趣味と噂を立てられたというオチがついたのには笑えた。綺麗な顔立ちだったことで10代前半から既成事実を狙う令嬢に追いかけ回されたり男性に狙われたりするのは本当に苦痛だっただろうと思う。公爵のことを可愛いと思うのはヒロインだけーー好きな人の知られざる面を見せて貰えるのは私だけというのはとんでもなく幸せなこと。初恋の妖精さん同士、いつまでも幸せでいてほしい
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