生者の行進 Revenge
」のレビュー

生者の行進 Revenge

みつちよ丸/佐藤祐紀

読みやすい!1冊600円の価値は十分

2022年4月25日
グロい表現が多いから人気はないかも知れないがテーマも内容も少年マンガと侮るともったいない。マンガならではの表現手法が存分に活かされている作品。精神的、情緒的、知的、暴力的、文化的、創造的、多くの刺激を与えてくれる。前作からの続編なのか、最初の入りが唐突な点には違和感があったが基本的には分かりやすい勧善懲悪モノ。少年向けらしく舞台は中学校や高校、登場人物は愛らしく個性豊かな同級生美少女と教師と保護者と警察。イジメや不登校、学級崩壊などの身近な現代的テーマを利用している点も分かりやすい要素の一つ。精神世界の世界観は作家さんの世界観だから「えっ!?そんな設定あり?」っていうムチャぶりはあったが空想世界の設定だからこの作家さんは「こういう理解をしているのか!」と尊重する姿勢で読み進めれば違和感なく理解に至ることができる。全体的に、臭いものにフタをすることなく人の心情のネガティブな部分を丁寧に掘り下げて描き出している点に特に好感が持てる。何気ない日常の片隅で巻き起こる事件や事故などの非日常な現実を人の思念や執着や主体性と絡めて霊魂や幽霊や怪物のカタチで可視化して伝えてくれているので、共感し易いし共有し易い。
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