滝藤の表情変化は１割以下かもしれない

『メルト アット ナイト』のスピンオフ。『メルト……』の朋樹の同僚だった滝藤と志島が主人公。前作未読でも問題なく読める。


AIのようにきちっと仕事をこなし、無表情で感情を読み取りにくい滝藤が志島に告白し、滝藤の好意は勘違いによるものだと認めさせるためにお試しで付き合うことを提案する志島。

お試しの関係から本当の恋人になる話はよくあるけれど、この作品の滝藤は奥手と無愛想と優しさが入り交じった感じで、気持ちが高ぶって告白はできたのに志島の反応を気にしすぎるあまり同僚以上の関係に進めないのが焦れったい。

男性を恋愛対象として見たことがない志島が滝藤との関係に戸惑う感じが自然で、告白されたからといってすぐに絆されないところが良かった。同僚の女性たちを安易に当て馬にしないのも好感触。

ただ、滝藤の無表情ぶりが強すぎて感情移入しにくく、恋愛パートも少なくて満足感は少し低い。