どうしようもない僕の運命の恋
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どうしようもない僕の運命の恋

未散ソノオ

逃げた男と逃げたい男の出会いは運命でした

ネタバレ
2022年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『どうしようもない僕の運命の恋』と『おまえでダメならもうダメだ』は、どちらかがスピンオフ(サイドストーリー)ではなく、お互いの魅力を高め合う作品だと私も思います。
どちらから読んでも良いと思いますが、私は発行順で読んでよかったかなと思っています。(個人的にシリアスな方を後で読みたいタイプです。あと、八雲の人となりを知っている安心感があります。逆に『おまダメ』は幾とミトがミステリアスなのが良かったなと思うので…。あくまで個人の感想です💦)
とにかく、個々に素晴らしい作品ですが、両者がそろうと「重み」と「深み」が増します。ぜひ、両方どうぞ!(『おまダメ』5/8までセール)

象徴となる「ペガサス」と出会う場面は、あまりにもしっくりきすぎて、それがホテルの天井絵であると気付くまでに数秒かかりました。とても印象的です。
ミトは、その言動からスピリチュアルな世界に生きる人かと思いましたが、そうではなくて、人の何倍も神経を使って、消耗しながら生きてきたことが分かります。「絵を描く」ことで「光」を見失わないようにしていたミトの姿に、「絵を描く」という行為が「芸術」としてだけでなく、「生きる術」であるという凄みを持つように感じました。
対して幾は、「身を削って生きてきた」と言います。名前を、全てを、捨てていました。その痛々しさ(生き様)を「美しい」と言うミトとの出会いは、運命であり奇跡です。そのミトも「幾でダメならもうダメだ」と言う。…あぁ、きました。割れ鍋に綴じ蓋…。どの作品にも共通している「核」のようなものですね。誰のことも一人ぼっちにしない。そして、「君」と出会えて「僕」は「僕」を見付ける…。感動しました。
『おまだめ』同人集も読まなくちゃ!
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