こわがり君にキスの雨
」のレビュー

こわがり君にキスの雨

さがのひを

こわがり君はどっち?

ネタバレ
2022年5月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●作者さんの『愛しい理由を〜』がとても好きなのですが、本作もすごく優しい気持ちになれる作品でした。立読みで、不安と小さな嘘を抱えた“こわがり”叶十が、未来のおおらかな包容力に溶かされていくお話…かと思いきや、良い意味で想像が覆されました。
●未来は多分、仕事人間だったんだろうなぁ…何かに打ち込んで寂しさ紛らわせるタイプ(勝手な想像ですが)。元彼との別れを結構気にしてて、叶十のことはめちゃくちゃ大切にしたいって思ってる。でもそれも、未来の寂しさの裏返しで…
●この、叶十が未来の優しさに頼りっきりのように見えて実は未来の方も叶十にすごく依存してる…という構図におぉー!となりました。予想外。悪い意味の依存じゃなくて、お互いが相手を必要としてる関係。なのに二人とも、「こんな自分なんて」と矛先を自身に向けてしまうのです。
●「距離を置く」なんてことせず、素直に話をしておけば良かったのに…とは思うけど、それも相手を想って、良かれと思ってやったこと。不器用…なんだよなぁ。お互いに“こわがり君”。その間に二人ともすごくすごく考えて、結局「会いたい、会わなきゃ」になる。大切な人だって改めて自覚する。
●拗れる要因が自分の中にあるのにそれを出さないでいると、綻んだときに本当に拗れちゃう。遠距離だと余計に。最後、お互いに素直でいようって誓えたのは良かった。物理的にも一番近くになったし!叶十の家族や友人との関係も良くて、幸せで温かいラストでした。
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