坂の上の魔法使い
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坂の上の魔法使い

明治カナ子

これは愛の物語

2022年5月3日
「これは大人のための童話だ」と書いている方がいて…私もそう思いました。絵柄の雰囲気とお話の内容から「ちょっと残酷で切ない大人の童話」だと。リーとラベルのほのぼのとした日常から始まる物語が、まさかこんなに深いお話だとは思いませんでした。世界観がしっかりしていて読み応えがありました。BL要素は2巻目がメインで、王家の目による命令(本人の意思に関係なく従えという命令)に縛られているリーが王に酷い仕打ちをしてしまい、2人が決別というかたちで別れてしまうのがとても切なかったです。でも、このことがなければラベルは生まれなかった、その後起きた王国の悲劇がなければリーがラベルを育てることもなかった。そして、リーが体の弱かったラベルに望んだこと、王の母君が死の間際に王に伝えた言葉、王の魂がラベルとの別れの際にかけた言葉のどれもが同じ意味の言葉で「健やかであれ」。多分この物語は、過去から現在そしてその先へ〔王からリーへ、そして親(王とリー)からラベルへ〕繋いでいくということがテーマなのかなと思いました。とても良い作品だと思うので、BLは無理という人でなければとてもお勧めです。
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