このレビューはネタバレを含みます▼
小さい不幸にしばしば縁のあるミキが、
人間の負の感情を養分にすることでしか存在できない"あかしびと"だと言う白髪の男と出逢う一一一
不幸によって起こる自分の感情が、彼にとっては大切な糧になる…一通り説明を受けて、人の良いミキは、彼の宿主としてシロと言う名前を与え、契約を結ぶ。
不幸体質ゆえに積極的に人と深く関わることを避けていたミキ。
契約を結んでもらった見返りや条件付きで人間の側で存在していた人外シロ。
今までの生き方は、どこか寂しいものだったんだな…とお互いに知っていきます。
2人が手探りで理解し合おうとする姿が何とも健気で、あたたかい気持ちにさせられます。
まるで仲の良い老夫婦のような会話、やり取りは思いやりに溢れています。(褒めてます)
お互いがお互いの為にと思い、
生きていく姿が何とも美しく尊いものでした。
2人は幸せな生活を送るものの、ミキがシロといて満たされてしまえば、シロの空腹は免れない。
空っぽの器に人の負の感情を満たすことでしか存在できないにも関わらず、ミキとの生活を通して、空腹でありながら、愛されるという"満たされた"気持ちを知ってしまったシロは……
ラストに向けては、はぁぁ…美しい、の一言。
この作家さんの1人と一人の3650日の胸ギューとなる感じが好きでしたが、本作はひたすらに優しい優しいあたたかい気持ちになれる一冊でした。
読み込みがまだ甘いと感じるので、今後も何度も読み返して自分なりに反芻したいと思います。