このレビューはネタバレを含みます▼
テンポもよく、分かりやすく、絵も見やすいし話も面白い作品です。遺産のみに焦点を当てて、その行方を見物人として楽しめる人にはたまらない面白さだと思います!
けれど、1話を読んだ個人的な感想では「謎解きはなるほどすごいけれど、悲しみだけが残った」物語でした。誰かに長年、心底尽くした人間が、当たり前のようにこけにされ。その弱さゆえに相手だけでなく、自分も堕ちて終わるまでの話です。金の亡者のような娘たちは、そこに至るまでの過程をするっと流されて、ただの悪者として終わり。故人の小説家は、人生の最後まで結局誰とも何も築けず助けられることもなく終わり。見て見ぬふりをし続けた家政婦は漁夫の利。個人的にはすみません、誰かの気持ちに共感しながら、そのキャラクターと共に歩める話ではありませんでした。けれど、それは逆に言えばリアリティという意味では完璧なのだと思います。物語ゆえの救いを求めたい、自身の心の弱さを自覚している人にはあまりお勧めはしませんが。徹頭徹尾「他人事」として楽しめる人にはぜひ読んでほしいです。多分とても面白いです!