このレビューはネタバレを含みます▼
値引きを機に購入。思った以上に良い作品でした。バイオロイドやクローン、セクサドール等、現在では踏み込んではいけない領域として留められていますが、この先の未来ではどうなっているかわからない、そんな世界の話。
主人公忍の秘密は早々と明かされますが、親友とも呼べる仲になった吉良がそのことを知り、怒りに任せて身体を繋いでいくシーンに胸が締め付けられました。そしてまさかの出来事に嘘なんじゃないかと思い、何度も戻って確かめて、変わらない事実に愕然とし、この後の話の展開が読めず、私の頭の中は大運動会…。現実逃避をしたくなるほど苦しかったです。でも待っていたのは絶望ではなく幸せでした。兄の言葉が最初読んだ時はどういうことか全く分からなかったのですが、全部読んでからもう一度戻り、その言葉の意味を理解した時、切なさと感動が胸いっぱいに広がりました。
ネタバレなしで読んだ方がいい作品ですので多くは語りません。絶望の中で恵の雨が降り注ぎ、虹が出るほど明るく照らされた未来に私も救われました。「人でないものにも人権を」という大きなテーマが、これから訪れるかもしれない未来の礎になってほしいです。