起こらなかった恋についての物語
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起こらなかった恋についての物語

カシオ

カシオ先生を絶賛するレビュー

ネタバレ
2022年5月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ カシオ先生の作品は全部好きですが、この表題作はとりわけメチャクチャに大好きです。
たったの33ページ。この中にカシオ先生の好きな所がぎゅーっと詰まっています。
インモラルな血の繋がった兄弟。
始まりは精通していない時に優等生の兄が悪戯されているのを目撃したこと。
自分が悪者になってでも守ったはずの兄が、実は守ったのではなかったこと。
それどころか逆に兄が好んでそういう事に及んでいたかもしれない、むしろソッチだろ!という。
ここがゾクゾクして堪らない。
それを決定づける現場を目撃した時の兄の真白な太ももと、曝け出された秘部のコマが、もう、もう、サイコーにエロい!!
何回も抜いていた妄想が叶うかもしれない瞬間、弟の複雑極まりない心中が、沸騰した情動でぐちゃぐちゃになっています。
その痛々しさとドロドロした煮えたぎる劣情が、こちらの心臓の動悸を早めて、たまんない気持ちにさせます。
最後まで描いていない、この寸止めが、さらにこちらの心臓を掴んで離しません。
多分安易な作品だったら、弟の脳内のト書きで埋まっている数ページを、ヤって仲直りめでたしめでたし、にするのでしょう。
しかしこの作品でそれをやっちゃったらぶち壊しです。
余計な事は描かない話さない。
簡潔に直覚的に官能のツボを鋭く突いてきます。
ストーリーらしいストーリーは無いのに、的確にBL読みの本能に揺さぶりをかける事ができる。
これこそがBL作家の秀でた才能だと思います。
………
同時収録は先生とDKのお話です。
5話まであるので読み応えがあります。
こちらも2人の気持ちの盛り上がりを読ませにきている良い作品です。
卒業まで本番は無し、なんて野暮は言わないよね?ってところで終了。
ホントに憎い!サイコーです!

修正は白抜きボカシでした。
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