薔薇色じゃない
」のレビュー

薔薇色じゃない

凪良ゆう/奈良千春

長い間

ネタバレ
2022年5月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 慧一と光流。出逢って恋人になって。同棲して、別れて。再会して。ずっと。ずっと相手を忘れる事ができなくて。友達なのは本当なのか。そんなことも考えたくないくらいに互いがいる事が大切だったんですね。でも、肝心なことは言えない。失いたくない。怖い。そんな感情を抱えながらも迷いながらもそこにいる。誰もが相手の気持ちが分からなくて、悩んで苦しんで。この2人は言葉が足りなかった。慮る事が足りなかった。それは最初はちょっとの、小さなものだったのに。タイミングがズレて、逃して、膠着して。あぁ、もう!おねがい!と、読みながら訴えたくなるくらい2人は苦しみます。それを打開できたのは、ちょっとの勇気。迷ってどっちへ行こうなんて考え過ぎて逃したタイミング。迷うのをやめて欲しいものは欲しいと口にした事で、2人の気持ちが同じだったことに気がつく。こんな自分みっともないと、理解されたい、一番に理解されたい、したい相手にも隠していたホントの気持ち。それを伝える事が大切だったんです。怖くても、勇気を出して。やっと。苦しい心のうちを描く作品なので、読み進めるのが辛い方もいると思いますが、最後まで読むべし!素敵な作品なのです。
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