このレビューはネタバレを含みます▼
「完璧な人間なんていない」、この言葉に尽きるなと。
沢山の事実を受け入れて前に進んだ主人公は本当に器が大きいです。優しく純粋な心を持ち続けた彼にどうか幸せになってほしい!と、応援しながら読了しました。
ただ、どうしても母と兄と父の傲慢さが苦しかったです。
主人公は小学生~大学生まで長々とほっておかれて、家族にとって大事なことも伝えてもらえず…
それに伴う寂しさも苦しいことも消化してきて、なのに1人ぼっちになったら、突然「知ってほしい」「赦されたい」と爆弾をどんどん投げ込まれる。
皆それぞれ悩みを抱えて苦しんでいたことはとても伝わりました。それを知らないまま終わるよりは、寂しさを1人で消化し続けるよりは良かったのでしょう。
でもここに至る前に、大切なことを伝えたり、家を去った後にも関係性を構築するタイミングってあったでしょ…、と……
それをやっていない辺り、さすがに主人公の存在を忘れて過ごしていたとしか思えず、それを踏まえて行動や態度、思考の内容をみると、どうしてもモヤモヤしてしまいました…
読んでいて本当に旅行しているような気持ちになれる素敵な描写が詰まっていただけに、このモヤモヤ感が残念でした。