変態侯爵の理想の奥様
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変態侯爵の理想の奥様

国原/秋野真珠/gamu

背景や室内や家具が地味すぎて残念だけど。

2022年6月2日
ジェーンオースティンのような世界観です。
絵がきれい。デッサン的にも美しい。私の好きな絵柄。

貴族の主人公の落ち着いて鷹揚なふるまいとか、変り者だけどやっぱり品が良い侯爵様、貴族だからとちゃらちゃら着飾ってふわふわしてる「庶民のイメージ貴族」ではなく、それぞれみんな自分の立場でしっかりお仕事しているし、キャラたちの衣装のデザインセンスとか、違和感で白けるところがないです。

昼間の家の中で肩丸出しの夜会のようなドレスとか、夜会でさえ結いあげてない髪とか、学園とか、庶民臭い振る舞いとか言葉遣いとか、設定だけ中世ヨーロッパ風の貴族にしてるだけで中身は現代日本の学生とか社会人の恋愛もの、という作品ばかりで、もうそういうものだと考えないようにして読むようにしていました。

これはそのへんが崩れすぎてなくて、「中世~近世の欧州貴族」という世界観は守りつつ、TLになってはいるけど「Hだけ」ではないし、むしろその要素は少ないし、自然だし、キャラの個性もストーリーも良いし、女性誌ジャンルでいいのでは。

高位侯爵と田舎子爵の身分差ありすぎ縁組の理由(設定)もこのくらいだったらフィクションとして許容範囲だし、時々出てくるギャグ要素も世界観を壊してない絶妙なラインでいいです。

「子供」表記なのも良い。
「子ども」にはいつもイラっと来ていたから。

ただ、結婚したのに「旦那様」とか名前呼びではなく「侯爵様」なのは「ん?」って思いますが…
背景や室内や家具があっさりシンプル過ぎて庶民の家みたいなのも残念。人物以外はあまり得意じゃない漫画家さんなのでしょうか。

惜しいところもいくらかありますが、それ以上に良いところが多いので良しです。
ちょっと高かったけど買ってよかった。
ページ数も本編185ページに侍女視点のオムニバス的なおまけ漫画もあり、満足。
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