このレビューはネタバレを含みます▼
一広さんに弟のお嫁さん、見覚えあるなと読み進めながらあ!っと気づいたのは深夜のダメ恋。登場する女性たちの歯に衣着せぬ小気味良い台詞の、あの大好きなお話と同じ作者さんだったのか。
全てにおいて完璧を要求する母からちゃんと認められることなく育てられて来た自己肯定感の低い私は、誤解されていても説明出来ない、何を言われても言い返せない、せっかく褒めてもらっても素直に信じる事が出来ず居心地悪さにダメな部分を殊更自嘲し暴く様な、そんな大人に出来上がっています。母が苦手で、早く大学で別居したかった主人公と滅茶苦茶被っていて、読んでいて身につまされました。あ、彼女の様な有名大学に入れたわけではなく、魚も捌けず、片付けられず、ましてや資格なども持たずのダメダメ人間で、小言を言われても当然なんですけどね。
卒業後も実家から遠ざかるべく付き合っていた彼と早急無計画に結婚。別居を保って居たのに、病気等でいつのまにかズルズル強引な想定外の同居です。
このお話、色んな人の台詞が心に刺さり改めて理解不能ないざこざやあの人のあの時のあの言動に気づかされます。
子供は誰だってお母さんの事は大好きなはずなのに、私だって大好きだったのに、なぜこんなに苦手になってしまったのか。母から言われたあの言葉やあの悪習、あれだけは言わないし絶対やらない様にしよう。反面教師としてしか捉えていない私は 主人公の様に最終的に母の味方になれるのだろうか。それが無理そうな私は人間として欠落しているのか。
ゆっくり何度でも、言葉のひとつひとつを大事にしながら読み返してみます。
細やかな洞察力、許すことの出来る柔らかい心。
作者さん、どの様な人生を過ごして身につけられたのでしょうか。