このレビューはネタバレを含みます▼
商家の御曹司であるサイードは一目惚れして支援していたボクサーのヒジリが部下のジャファルと結ばれたことで告白前に失恋し、落ち込んでいたところを庭師のつばめに声を掛けられ、つばめが落としたディルドとつばめ自身に興味を引かれて誘いをかけるものの、つばめには逃げられてしまう。
二人の出会い方が突拍子もなく、読み進めるのが楽しくなった。でも、つばめはセッ クス無しの純愛を求めていて、そうなってしまった理由と凝り固まって縛られ続けているつばめの心が痛い。
サイードは好きになった人の夢のために惜しみなく愛や財を与え、相手も最初はそれを享受するけれど、成功すると離れてしまう。全力で愛しているから与えるというより尽くすことで自分の存在意義を確かめているようなサイードも切なくて苦しい。
つばめの思いを尊重して純愛のお試し交際を提案し、つばめに尽くすサイードは本当に優しい。二人とも、相手を想うあまりに心がすれ違いそうになり、結ばれるタイミングを逸してしまったときはハラハラした。
サイードに癒されたつばめが元ヤンの男前さを発揮してサイードを救い上げる流れに思わずグッときて、二人が身も心も結ばれたときは本当に嬉しくなった。
つばめが純愛を望んでいたから二人の直接的なエッチシーンは最後までお預け。その代わり、ヒジリとジャファルの熱々シーンが差し込まれ、ストーリーにヒジリたちも絡んでくるから違和感や唐突感がなかったのも良かった。
ディルドが擬人化されたSSも面白い。サイードをライバル視するディルドとか最高!