このレビューはネタバレを含みます▼
作家を諦め、妻と母親という皮を被っているけど、それは本当の自分ではない。要するに本当の自分はこんなものではない。
これはつまり、主人公は32歳まで大きな挑戦も挫折もせずに来てしまって、無意識に自分の可能性を過大視している気がしました。そして責任感があまりないです。家族がいながらサクッと無断外泊するので。娘に心配させるのは1番ダメだなと思いました。
夫は多少冷たい気もしますが、家と幼稚園くらいしかコミュニティがない専業主婦のお喋りに同じテンションで仕事終わりに話せる人はそう多くないと思う。不倫もしていなさそうだし、ほとんど悪い所が無さそう。主人公は、結婚して妻になって母親になっても、この夫と夢中になれる恋愛をしていたかったんだなと感じました。
夫も子供もいてお金にも時間にも困っていない環境で、自分がなんなのか葛藤しているところには身勝手だなと感じつつ、ここ最近結婚について悩むことが多かったので胸を打つものがありました。
融くんが言う通り、周りに言い訳して甘えてばっかりいる今の業が実際の業だし、作家が本当に諦められないなら家事育児の隙間を縫って努力すべき。変に甘やかさず、ハッキリ言い切った融くんは、人としても作家としても業よりずっと成熟しているなと思いました。(恋愛を除く)
あと、融のマネージャーも一癖ありそうで気になります。女の話で顔色変わって、同じベッドでくっついて寝るのは、、きっと拗らせてますね。
不倫はダメだし子どもが不幸になるようには絶対しないで欲しいですが、今後主人公がどう変わっていくのか楽しみです。
夢中になって読んでしまったのと、最新刊まで読み終わった時点で考えさせられはしましたが不快ではなかったので、星5です。