このレビューはネタバレを含みます▼
まだまだ世の中に多くありそうな価値観のお話。主人公(長女)の苦労は私を含め、経験者は多いと思います。ただこんな家ばかりじゃないので、この感覚はなかなか理解してもらえないし、当事者たちも脱け出せない(優位な人々は、そのままでいたいし)。
長女の客観的な物事のとらえ方やかわし方、努力の方向性、人を見る眼がどれも素晴らしくていいなと思います。まさに自分の理想だったので、本当に好きになりました。
誰かを恨まず、俯瞰で見ることができる。そして母親とも対話できる。そうそう、無理に好きでいなくてもいいんです。好きじゃない、でも嫌いでもない。
主人公のこのしなやかさと、「俺をわるものにしていいよ」という伴侶の包容力が読後の優しい余韻につながっていると思います。