このレビューはネタバレを含みます▼
短編集で207pというなかなかの読みごたえ。
なかでも「食、喰、噛」が好き。毎日、食事を作る男とそれを食べに来る男。とても切ない話ですが、胸がぎゅっとしめつけられるような深い想いを感じます。
「魔法使いの弟子」も好き。元カレを忘れられず孤独に過ごす男と、そこへ遊びにくる女子高生との友情。恋愛ではないけれど、これも一つの愛の形だなぁと。
どの作品も小粋に人生の1シーンを切り取っています。ヤマシタ先生は全てを語りはしないので、結末は読者に委ねられているところも多いですが、その身近な情景のなかにキャラたちの人生が詰まっています。
ヤマシタ先生の短編はジャズのセッションみたいな感じ。その瞬間の想いの昇華のような。