このレビューはネタバレを含みます▼
全9巻を読み終えて真っ先に思ったことは、人はなんて哀しくて美しいのだろうということ。
その際たる登場人物が伊織と青目。
対極にいる2人ですが、エゴに囚われた青目は素直過ぎて哀しく、凛として強い伊織は痛々しくも美しい。だからこそ、2人の結末がどうなるのか、途中からそればかり気になってしまいました。
1巻毎に難解な事件が起こるのですが、事件解決の裏には人間の奥に潜む愚かさや哀しみ救いが描かれていて痺れます。
が、7巻以降がこの作品のクライマックス。
息つく暇もないほど圧倒され、こういう落とし所が用意されていたとは!と驚きを持って読了しました。
この結末、本当に素晴らしかったです!ラスト、青目がどんな顔をして伊織と対峙していたのか。その光景を想像すると、歪だけど2人しか理解し得ない愛がそこにはあったのだなと深く思いました。
伊織や青目以外の登場人物も味わい深かったです。脇坂に鱗田、夷、マメ、トウ、甲藤に鵺‥、お話が盛り上がるにつれて人物もどんどん魅力的になっていくので目が離せません。
この作品、イラストはなくBLでもありませんが本当に読んで良かったです。榎田先生お好きな方、是非読んでみて下さい!