このレビューはネタバレを含みます▼
●作者さんの短編『恋の〜』『愛の〜』を以前拝読し、本作も機会あれば読んでみたいと思っていました。本文39P。
●読了後にレビューを熟読しましたが、ミツをサイコパスと表現されてる方が多く、自分が抱いた感想と違っていたので驚きました。目から鱗と言いますか…そうなんだー!って。なので読まれるかたによって解釈が違ってもいいよね、と思ってます。(以下解釈系のレビューです…)
●私は、ミツは本当にプラトニックな人なんだと感じました。性的なものを理解できない。嫌悪している。ミツが最初に語ってるそのままです。そしてトバリのことを本当に好きなんだとも思います。利用してるとか囲ってるとかじゃなくて。
●なので、トバリの「スキンシップもsexもしたい」という望みを、なんとか叶えてあげたいと思ったのでは。自分は好きじゃない行為だけど、トバリのために。もしかしたら、sexで豹変してしまう自分を知っていて怖いと思っているのかもしれないし、あるいは嫌悪感のあまり無機質な抱き方に(表情に)なってしまうのかもしれない…。私には、sex中のミツの顔はとても苦しそうに見えました。
●トバリの方が“普通”(あえてそう書きます)の感覚に近いので、読者としてはそちらに共感してしまいがちだけど、トバリもミツに寄り添ってない。不安になり、したいと言い、してみたら思ってたのと違って怖くなり、一方的に終止符を打とうとする。もちろんトバリも、ミツのこと本当に好きだからこそ「したい」わけなんですけどね…
●とにかく二人の間に対話がないのが致命的。二人とも相手に言おうとしないし相手の話を聞こうとしない。恋の“量”や“質”がお互いの間で異なると感じたなら尚更、言葉を交わさなきゃ。これって人間関係の基本でもあるよなぁ…などと思ったり。
●でも彼らは結局…『好きだよ』の一言でしか語り合おうとしないのです。胸がシクシクするような読後感でした。考えさせられます。
●(追記)表紙かぁ…。これくらいの手の触れ方が一番幸せに感じるミツと、物足りなくなってしまったトバリ…という表情に見えます。視線はお互いに向かうでもなく、全く同じ方向を向いているでもなく……(長文失礼いたしました)