5人の王
」のレビュー

5人の王

絵歩/恵庭

壮大なるファンタジー長編

ネタバレ
2022年7月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ライトノベルのコミカライズ化作品ですが、原作が存在するだけあってストーリーラインが素晴らしいです。

これだけ登場人物(しかも何人かは同じ名前だったり名前が何個もあったりする!)がいて話が長くなるとこんがらがったりキャラクターの役割を忘れがちですが、この作品は各キャラの特徴と関係性を明確にすることによってそれを防いでいるし、伏線を張ってそれをきっちりと回収しているお陰で何の話だったっけ?ってなることもなくサクサク読めます。

ただこれはコミカライズの欠点だと思うのですが、話を詰めすぎというかテンポが速すぎて登場人物たちの描写が流されがち。たとえば心優しいギュールズへの恋心を募らせていたセージがほぼ次の瞬間に冷酷で残忍なアジュールのことが好きだと思ってしまうところとか、そこへ至るまでの気持ちの移り変わりが全く表現されていませんでした。恐らくそのところは原作では細かく描写されていると思うのですが、その他にもこういう感じで急がされた感じのシーンがいくつかあったせいで、セージがただの考え無しのアホの子みたいな印象になっていました。

お話の展開は本当にさすがと言うしかないです。一難去ってまた一難。しかもセージにも色んな能力が携わっていることが解ったあたりからは、現在と過去を行き来するタイムトラベラーみたいなお話にもなって本当に面白いです。絵もキャラクターとあっててとても美しいです。
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