タコピーの原罪
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タコピーの原罪

タイザン5

誤解してた。

ネタバレ
2022年7月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ SNSで、よくタコピーや子供達がヤバいというもんだから、そうなのかな?と、思って読んでみたけど、タコピーも子供達もなるべくしてそうなっただけで、誰一人としてサイコパスであるとか、頭がおかしいという訳ではないと思った。この作品で救いようもないのは、揃いも揃って大人達であった。しずかちゃんの両親は二人とも人間のドクズであり、まりなちゃんの父親は、自己中でパワハラの浮気野郎で、母親は心の病があるとはいえ、娘の心も体も傷つけている。やたらと不器用で無理に勉強をさせ、兄弟に格差を付けて、息子の心を傷つける母親も登場し、学校の職員は明らかにいじめられるいじめられっこにも、心に闇を抱えたいじめっこにも気付かないふりをしている。
子供達は、どの子も傷付いた果てに自分を守るため歪になっていたに過ぎず、それはまたタコピーも同じであると思う。タコピーはそもそも悪意のほぼ無い星出身で、悪意渦巻く気持ちというものの発想がそもそも無い。それから物理的にも傷付きながら人の気持ちも理解してゆく。やがてはタコピーの心の中にも悪意が芽生えるほど考えて、それでも解らなくて、更に考えた果てにようやく子供達唯一の理解者になるのだった。
そう、誰も理解者がおらず孤独の中で苦しむしかなかった子供達が、少し先の未来でわずかながら希望を持てたのは、宇宙人が理解してくれたからだと思う。そして、タコピーの命懸けの行動によって最悪のループを抜け出したのである。
タコピーが犠牲にならないと、子供達3人は救われない。大人達は子供達の人生を邪魔するだけだった。しかも、完全に救われた訳ではない。大人になるまでの少しの数年間の猶予を与えられたのみである。子供達は、これから先どの様に生きるか大人達の力を借りずに自分だけの力で生き延びなければならないし、場合によっては人を切り捨てなければならないだろう。
子供達にこれから先も不幸や困難が人よりも多く降りかかるだろう。何せ、守ってくれる存在はいない。それでも、タコピーがいた事で強くなった子供達は、やがては幸せになれるよう全力で頑張って欲しい。私は幸せを願っている。
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