CANIS-THE SPEAKER- 【特典付き】
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CANIS-THE SPEAKER- 【特典付き】

ZAKK

とうとう完了しましたね。

ネタバレ
2022年7月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ BANANA FISH や DEADLOCK 好きならば、すごく楽しめると思う。主人公3人はBANANA FISH のアッシュが3分割した感じ。はじめのうちは登場人物の区分けにちょっと難儀したけれど、読み進めて行くと問題ない。作家さんの画力にも引き込まれる。欧米人の堀の深い表情とかすごいなと率直に思う。
孤児院からの人身売買が全ての始まりで、その中でノブが日本の闇社会でのし上がって行く様に圧倒する。男娼として仕事しながら語学力を身につけ、裏情報で自分の価値を上げ、組織へ食い込む。同時に司法試験も合格してって何年かけたかと計算してしまった。時系列を辿って読んでいく面白さ、読み応えあり。心身共に傷ついたノブが自分を見失わなかったのは孤児院で過ごした米国人の2人の存在。米国にいる2人もそれぞれ人生が始まるけれど恵まれた環境の中でもノブを忘れない絆に深く感銘した。
昔、留学した友人から聞いた欧米人のアジア系人種軽視ってやっぱりあるんだなと考えさせられた。
物語は米国経済界と裏社会にCIAやFBIを絡めて深く入り込んでいく。一気に3巻まで読んで、それでも止められなくて雑誌版までよんだ。裏社会に入り込んだ2人がやむを得ずとも殺人を犯したこととか、インサイダー的なマネー操作のこととか、どう折り合いをつけるのか、それとも3人でメキシコあたりでのんびり暮らすのか・・・ここからは、全巻読んだあとの感想ですが、新しい名前で、のんびり中南米で暮らすのね、そうだと思った。BANANA FISHでも原作者は「アッシュは死ぬしかなかった」からの結末だった。こちらも因果応報じゃないけど、米国で実名で生活できないこと、実在しない人物になることで決着をつけるんだね。物語だから登場人物の都合の良いことばかりには進まない。何かを得るためには何かを手放す、人生においての取捨選択についても教えてくれたストーリーでした。久しぶりにBANANA FISH、,DEADLOCKED、気まぐれなジャガー、シジュウカラ以来の集中した時間を過ごしました。
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