このレビューはネタバレを含みます▼
こんなに、悪人が一人も出てこない物語が今まであっただろうか…!読み終わった時にすぐ出てきた感想がこれです。ランド家もブロディ家も、タイプは違っても真っ直ぐで善い人達だし、嫌味な上司も、玉の輿を妬んでくる同僚もいない。クリエットの多忙の原因である王太子でさえ、面白そうな人だ。
敢えて言うなら、ヒーローである筈のクリエット。読んでいて「えぇぇぇ…?」と思わず声が出てしまう程、あまりにも仕事中心で合理的が過ぎる。結婚に持ち込んでもしばらくは、プリシアの気持ちを全く考えないのでちょっと引いてしまった…。プリシアの方が、自分の考えよりも何よりも「クリエットを癒したい」がいつでも最優先なので上手くいっているけれど。それ程、心身共に疲れ切っていた…プリシアの存在によって疲れが取り払われ、初めて仕事以外の事を考えられるようになった。という事かな。派手な事件など何も起こらないけれど、読んだら温かい気持ちになる。そんな物語でした。