このレビューはネタバレを含みます▼
初恋という自覚もなく好きだった同級生のミウと、再会したイケメン主人公・一之瀬。
ある病的な症状をミウの存在に癒やされ、同級生たちの回想も交え、古い記憶が一つずつ、扉が開いてゆくかのようによみがえり…
でもミウには、婚約中の年上の従兄弟がいて、彼女もまた初恋の残像を追い、一之瀬とは一定の距離を保つ。
ミウのひだまりのような優しさが、自分だけでなくあらゆる友人に向けられることに苛立つ一之瀬だが、ミウの提案により、彼女の職場のスパ内でのみ、時々 デートをすることになり…。
必要としてくれる 弱った相手を選び、助け、尽くすことが性分のミウは、誰といれば幸せになれるのか。読みながら、一之瀬目線でいろいろ考えてしまう。
初恋の、愛おしさともどかしさと切なさに向き合う名作。
着地点には異論もあるようですが、私は好きです。ミウの存在が残したものが、関係者皆に確かに息づいていて、受けた人が今度は次の誰かを励ます優しさの連鎖になっていく。あの人と出会えてよかった。そんな読後感が好きです。