秘密基地に愛人
」のレビュー

秘密基地に愛人

内海ロング

切なさも残る、温かなストーリー

ネタバレ
2022年8月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「右手に見えますのが、俺の彼氏でございます」がとっても良かったので、それから追いかけてる作家さんです。テーマが多岐で面白いですが、苦手な時もあり。でも、作画が爽やかキレイなので、読みやすい作家さんです。
今作は、ミステリアスな出だしです。やる気も元気も全く感じられない高校教師の哲二の元に、本人である筈がない「光太」から手紙が届くところから始まります。その「光太」が、秘密基地で待っていると書いてあり、心当たりはあるものの、洸太でない事も分かっている。光太の事実はなんとなく分かるのですが、ファンタジーになるのか、どういう決着なのか…。手紙というのが、ストーリーの重要なキーワードです。ロング先生なので、ハッピーエンドの確信はありましたが、「光太」の正体は予想を外しました。韓流ドラマ的巡り合いでも、ファンタジーでもなかったです。「光太」にはちゃんと別の名前があります。光太と会えなくなって10年、光太の言葉でなんとなく教師を続けていて哲史が、愛人にしてと言う「光太」と紡ぐ再生の物語です。読み終わりの心地良さと同時に、切なさの余韻が…。追憶される光太の笑顔が眩しくて、うるうるしてしまう。優しい物語です。
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