in THE ROOM
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in THE ROOM

安田剛助

現代日本社会の縮図を描いている?

ネタバレ
2022年8月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 逃げ場のない閉鎖空間で複数の日本人男女が織り成す人間ドラマ。作者の人生観を描きたかった作品なのだとは思うが実際のところ作者が何を描きたかったのかを理解にするには難解な作品。
導入部から前半部はギフテッドではなかった少年マンガの主人公的な中二病キャラの少年(青年?)が主人公の物語。人為的に創り出されたオンラインゲームという都合の良い仮想空間での実績に酔いしれて無意識に創り出された未知の怪物という自然の脅威に蛮勇を奮って無為無策に立ち向かった結果、過大な自信を叩き折られると同時に生命を失うという厳しい現実と向き合うことになった。
中盤部では唐突にナゾの空間や未知の怪物の正体が明かされつつ登場人物たちの関係性が徐々に明かされていく展開。極限空間の中で互いに疑心暗鬼に陥る人々の心情が丁寧に描かれ命がけの心理劇が繰り広げられる。主体性を見出し解決策を模索する者、自己保身にのみ執着する者、自暴自棄の塊の様な者、正義感に突出する者、狼狽し戸惑うだけの者、そして悪意を持って人の弱みに付け込む者の7人が極限状態の中で思いおもいに動く様はちょっとしたカオス。最終盤に向けて物語をどう繋げるのかを期待させてくれる。まるでミステリー作品のような気持ちの良い展開。
最終局面ではすべてのナゾが解き明かされた後に残された人々に待ち受ける結果がどうなるのか。衝撃の結末は読者によって一人ひとり解釈が変わってきそう。
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