薔薇のために
」のレビュー

薔薇のために

吉村明美

未練が苦しい人に読んで欲しい

ネタバレ
2022年9月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最愛の人と別れた後、どうやって生きていったらいいのか。本作ではそれぞれにそんな心境のキャラクターのその後のストーリーが描かれており、表面上に見えるより内面は繊細なキャラたちの苦しみが描かれていました。
「一番愛してる人に死なれちゃったらあとはもう誰が恋人でもおんなじなんだ お母さんには」と、人生の一番いいときは過ぎてしまったと感じている消化試合のような残りの人生を、主人公がそれぞれに関わっていくことでほんの少しずつ影響を与えてくれたのだと思いました。
すみれは真面目だからこそ、今でも思い出して泣いてしまうくらい亡くなった恋人が好きなのに、ゆりに惹かれる気持ちをどうしたらいいのかと悩んでいるところで「自分を責めるのは特等席が一つしかないと決めているからさ」と諭されるシーンが印象深いです。人生の第一志望ルートから落っこちてしまったとき、どうやってそれを受け止めてどうやって別ルートを進むのか。またその別ルートはその人にとってずっと第二希望以下にしかならないのか。
横暴な性格の家族!という始まりでしたが、どこまでも全員が真面目なんだと思いました。
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