このレビューはネタバレを含みます▼
ソルフェージュとは読譜、聴譜の学習を中心とした音楽家の基礎教育のこと。
音楽学校を目指す田中吾妻を中2のときからボランティアで指導するのは小学校の音楽教師の久我山。家庭環境に難があり、音楽を諦めようとする田中を久我山は支えますが、田中が高校生のときに関係を持ってしまい...。田中は図体はデカイけれど中身は子供みたいなおっとりさんで久我山は少々投げやりなところはありつつも音楽の指導力は一流の教師です。よしながふみ先生の作品は地雷と言われるようなものが結構あるのですが、そういうのをひっくるめてとてもよかったです。距離を隔てているときの2人の生き方もそれはそれで自然に受けとれました。やはりすごいなと思いました。
この本には「ソルフェージュ」シリーズ5章が入っていまして、「ソルフェージュ」白泉社文庫版には読み切り4本がプラスされていますので、セールじゃないときは白泉社文庫版のほうがお得ですね。ページ数も327ページっていいなー。よしながふみ先生の作品を読むのは2作目ですが、今回も胸熱で読み終わりました。すごくよかったです。旋律が聴こえてくるようでした。
1998年3月 総180ページ 修正=見えない構図