名前も呼ばないあのひとと【単行本版】
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名前も呼ばないあのひとと【単行本版】

山本巳未

地雷多数かも… 重い。けど一気読み。

ネタバレ
2022年9月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 話数売り含めると、読み放題で全部読めます。
単行本版には巻末おまけがあるのが違いですが、おまけ漫画ではなく設定公開くらいなので、お得感はあんまりないかも。

地雷要素として、不倫、性暴力、モラハラ、毒親等ありますが、ヒロインには直接の被害なしです。
ヒロインの周りが被害者ないし加害者になります。

ヒロインも女同士の友情に軽いトラウマがありますが、残念なことに最後まで女同士の親友は得られていないお話となります。
良い子なんですけどね、女友達を見る目がないのかも。
ただ、女性上司含む職場の女性同士の関係性が良いところはすごくいいなと思いました。

結構共感したのが、かなこみたいな子って自サバ系女子やアホな男にぱっと見で舐めなれるんですよね。
「悩みなさそう、何も考えてなさそう」「女の子らしい、弱々しい」「おっとりしてて従順そう」とか。
実際それなりに考えてるし悩んでるし、従順でもなければ中身は女子女子してないのよね。

このお話って、人は簡単に変われないよねってお話かと思う。
ラストの方で、かなこといくみが逆になったみたいだねって言っていましたが実はそんなことないかなって。
一見、かなこも変わったようだけど、素の性格が出てきただけな気がする。もちろん成長もしてますが。
他の三人もそうです。
いくみもあれが本性。
そうたも元カノかつ冒頭出てきた新婦と付き合った経緯見てわかる通り根はヘタレがちの繊細さん。女子が怖いって素養があった。
えいじも軽いようで本当はお兄さん気質というか。
この作品の中ではいくみのしたことがはっきりと「性暴力」と扱われていました。
常々疑問に思っていたのです。
他の女性向け漫画でも、こういった男性側をお酒などで嵌めて関係をむりやり持つ描写があったりしますが、結構男性側は平気そうにしてるし、扱いも軽い。
いや、犯罪ですよ。
なんで男性が被害者だと「いい思いしただろ」など平気なように扱うのか。
そうたの反応は納得です。
逆の立場になれば無理でしょ?被害に遭う前と同様にパートナーに触れられますか?
ましてや、もともとそうたは女性に対して苦手意識が強かったし。
最後も、すべてを赦すとはならなかった。

いくみも毒親に支配され、ずっと悪い影響を受け続け事件を起こしましたが、被害者たちからしたらいくみの事情なんて関係ないですよ。
やっぱり犯罪は犯罪です。
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