これは良い





2022年9月30日
私はストーリーに癖がある作品が好みで、漫画より小説派なのですが、これは良作だと感じました。物語が複雑で絵が素晴らしくうまい。大満足。ヒーローは鬼、人と異なる世界感で永遠の命を孤独に生きてきたため、自分の抱える感情が何か分からない。鬼の世界には愛や恋は存在しない、これまで弱肉強食で、力で眷属を服従させてきたから。また、ヒロインが子供の頃の環境も弱肉強食でした。何もない田舎で親の庇護も得られない、体にアザがあるから忌み子といじめられ、家族の為に懸命に働きます。体はボロボロでも心は強いヒロイン。弱いものは間引かれる、間引かれようとした時にヒロインはヒーローに拾われます。ヒーローはヒロインを大切にしているものの、自己肯定感の低いヒロインにはその想いは伝わらない。すれ違う。家族から愛された事のない自己肯定感の低いヒロイン。二人の間の行動、行為はいつも交換条件で、無償ではありません。行為には見返りが必ずあって、2人は対等でないことがわかります。見返りといってもそれは等しい価値ではありませんし、鬼と人で価値観が異なるので当然ですが、お互いに想いが伝わらない。ヒロインは、生き延びるために鬼との契約をして、カシャクになりますが、鬼が人を愛するわけがない、そもそも自分は誰からも愛されないと思っています。でも、眷属や人との関わりの中で少しずつ自己肯定感は良くなってます。焦ったい。好きだ愛していると一言言えば済む事なのに。あぁぁ〜はやく幸せになって!前髪を切るか上げて自信満々の美女に変身して〜!がんばれ、ヒーローとヒロイン。何となく先が見えてしまうのは、私の年のせいかな。そしてあながち空想でもない設定、事実こうだと言える物も描かれています。作者さんは人には見えない世界が見える人なのかな。

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