玻璃の花 雪花の章
」のレビュー

玻璃の花 雪花の章

稲荷家房之介

平安ファンタジー(『紅蓮の章』に続く)

2022年10月2日
●読み応えのある物語でした。おもしろい!ただ、直接的なBLシーンはほぼ皆無です。でも繋がりは何よりも強固。ファンタジー要素強め。『雪花の章』と『紅蓮の章』で続きものです。前編、かなり時系列や人物、場面、現実と幻像が入り組んでいて、それらが後編〜完結へ向けて徐々に紐解かれていくので、前編だけで終えると「訳が分からない」という感想になってしまうと思われます…
●平安中期か陰陽道(またはどちらも)の知識が多少ないと、読むのがしんどいかもしれません。私は平安大好物なので、呪詛祈祷に頼る時代背景や、朝廷や高野山の人物関係などはすんなり入り、1話からグッと引き込まれましたが、陰陽道についての知識は薄弱で、そんな自分を口惜しく思いました。
●道満と対峙する相手として晴明が出てきますが、本作の世界線の晴明を描いた作品がある(つまりスピン元、絶版)とのこと。そちらが前提になっているからか、前後編通して晴明の人物像が掴みづらかったのが残念です。(過去からの保憲との関係、道満との因縁、髪の色?が特に気になりました。)
●後編を読むと、またこの前編に戻ってきたくなります。(私は実際戻ってきて、再読後こちらを書いています。)世界観にご興味が持てそうならば是非どうぞ!前後編通してのレビューは『紅蓮の章』の方に書かせていただきます。
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