玻璃の花 紅蓮の章 【電子限定おまけマンガ2P付】
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玻璃の花 紅蓮の章 【電子限定おまけマンガ2P付】

稲荷家房之介

救済と再会の物語

ネタバレ
2022年10月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●『雪花の章』からの前後編続きものです。前編の最終盤、道満が晴明の術に飲み込まれた後、後編の冒頭にかけて道満(イツ)と瑞慧(スイ)の過去を追ってくれています。
●都から隠されて、空っぽであれと育てられたスイ。イツとの出会いは、じんわりと沁みるようにスイに温かさと優しい気持ちをもたらす。あるときイツが鬼の本能を発現させてしまい…のところで前編が終わっていました。スイはイツに無事に生きてほしいと願い、“器”になることを覚悟します。そしてそれを知ったイツも、スイを救おうと覚悟を決めるのです。
●道満と瑞慧が交わりによってずっと繋がっているのが素敵。これが一縷の光。二人は過去に引き裂かれてからラストまで直接会うことはないのですが、意識下でずっと繋がっています。道満は“スイ”と呼びかけ続ける。なのに瑞慧の方は記憶を消されていて…道満をはっきりと認識できない。
●そこへつけこむのが晴明なんですよねぇ…悪者じゃん晴明…。晴明の本音はどこにあったんだろうなぁ…?道長の野望を叶えることに価値があったとは思えないし、意味深なセリフもチラホラ。絶版になったという晴明編を是非読んでみたいです。
●晴明の術に嵌り道満を自らの手で滅してしまった瑞慧は“器”が割れて暴発、都に災禍を降り注ぐ。これは…いわゆる怨霊ですね。この呪いを解くのが、道満が瑞慧との思い出と一緒に大切に持っていた“玻璃”の奇跡。二人の繋がりの強さ。想いの深さ。
●二人はそれから…!という場面で物語は締め括られますが、確かにその後がもう少し見たかった!オマケの2Pだけ、二人の触れ合いが見られます。「ずっと一緒にいよう」の約束をようやく果たせる。絵も美しく、読み応えのある大河ロマンでした。おもしろかった!
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