表紙では想像つかないファンタジー名作





―――ある記憶を持つ少年が普通の高校生として日常をやり過ごしていたが、ある事件がキッカケで共通の敵と味方が現れ、心の奥に秘めていた世界の真相が少しずつ暴かれていく、そしてある記憶を持っているからこそ日常を保ちたい主人公と、目的が分からない黒幕や使命を持った登場人物の思惑が重なり、謎が謎を呼び核心に迫っていく。―――
少女漫画でカテゴライズされてますが、甘ったるい恋愛ストーリーはほぼなく、力・戦争・宗教などのきな臭さが少しずつ散りばめられていて、もう1つの世界と現在の日常のチグハグさがありつつも風呂敷を広げすぎない、紙一重に共存する世界として描かれています。
昨今のラノベ等の転生モノとは違う、どちらかというと昔の少女漫画の大作ファンタジー寄りで、更に恋愛よりも謎に焦点を当てている作品。
難点としては、登場人物がそこそこ多い、各キャラの役回りが複雑、描き分けがそこまで上手くない、それぞれの事情で(一部は展開の為に)掻き回す動きをするキャラが出てくる、画面があっさりしている。
ファンタジーにミステリ要素もあって、登場人物の心情をどこまで信用していいのか、独自の宗教に絡む能力の仕組みにも法則性があり、断片的な記憶、主人公が世界の中心人物であるにも関わらず隠されていた世界の謎を、見てる側も一緒に解き明かしていくような難し過ぎず読み応えのある作品になっています。
モブだと思っていても油断ならないのも面白いポイント。
誰が嘘をついてるのか、適度な話数で答えを用意してくれていて、ヘイトが溜まりすぎるキャラも居らず、謎が明かされても世界の全貌が見えない感じが良い。
何より主人公が熱い心は持ってるのに同時に理性的で合理的、品格と器に説得力があって、弱さや甘えを失わないよう務める姿と復讐心が紐解かれていく姿に好感が持てる。
凄いと思ったのが、初見で感じた違和感が後から読み直すとちゃんと伏線や布石としてばら撒かれてたりする。
無意味な台詞と思わせてヒントがあったり、このキャラや表情を強調する意味は何だろう?と思っていると後々に繋がってたり…
まさか4巻の時のちょっとした違和感が30巻頃に出てくるとは、読み直してビックリした!
でも伏線に拘りすぎてる訳でもないのが良い塩梅。
少し高いけど興味があるなら是非1度、5巻ぐらいまで読んでみて下さい。

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