このレビューはネタバレを含みます▼
待ち侘びていた二巻です!一巻が本当に素晴らしかった反面、一緒にいない理由を知るのが怖くて二巻を読み始めるまでに少し尻込みをしてました。
読後の感想としては、2巻もとても良かった!!良かったのですが…、しかし終わり方が少しモヤモヤとしてしまったのが正直な感想です。トレヴァーの気持ちは一貫して深い愛が伝わってくるのですが、ジーンの心情に見えずらい所があり、カナダに行きたいといった時にトレヴァーの事を考えなかったこと、離れてから一度も連絡がなかったこと(ジーンに新しい人を知る権利があるといったセリフから、トレヴァーの心情はわかるのです)、再会後もすぐ立ち去ろうとするところや、そして再会後に恋人に収まらなかったところなど。単細胞の私からしたら、えー!くっつこうよまた!!と思ってしまって消化するまでに少し時間がかかりました。しかし何度も何度も読み返すうち捉え方がまた変わりました。
ジーンは若くて、不安や期待や葛藤を待ちながら自分の道を切り開こうとする若者。心から愛する人がいてそれでもなお自分の世界や夢や可能性を少しでも広げるために足掻いたんだなと。トレヴァーと蜜月のような2年を過ごし、そこからさらに全く新しい世界で16年。そこでもまた新しい出会いや沢山の経験を経ただろうに、最終的にまたトレヴァーのところに帰ってきたというのは、ジーンにとってもトレヴァーが変わらず大切で愛する存在で居続けたからこそなんだなと改めて思いました。すごいことだ。
もしかしたらこの先も新たな葛藤があるんじゃ…と一抹の不安もよぎりましたが、甥っ子のジーンに言った「これからはずっと一緒に居たいと思っている」という言葉。この言葉だけでもうなんか十分だと思えました。経験や歳を重ねたジーンのこの言葉だからこそとても安心感があるというか。恋人だろうがなかろうが間違いなく相思相愛だし、ずっと一緒にお互いを大切に思って仲良く過ごし続ける二人の未来が見えた気がします。本当に素晴らしいお話でした。
BLの枠に収まらない、本当に映画のような一冊です。作者さまの頭の中はどうなっているのか全く理解出来ないほど緻密で丁寧で深い内容で、至る所のセリフや言動や表情や背景が、ああ、ここに繋がっていたのかと思うシーンが幾度となくありました。素晴らしい作品をありがとうございます。野暮な事は承知ですが、出来ればその後の2人の様子も見たい気持ちです。