拠り所となった小説への極上のオマージュ





2022年10月11日
紙版で読みました。作品の原典とも言える吉屋信子の小説「徳川の夫人たち」を先に読了していたのですが、単に小説を男女逆転させたのではなく、創作部分をふんだんに織り込みながら、その状況や登場人物の喜び、悩み、葛藤を読者に納得させ、最後まで惹きつけ通す作者様の画力・知力に敬服します。特に前半部分の中心人物である有功は、小説での完璧なる女性のお万の方より、煩悩に苦しむ人間らしさが細かく描写され、感情移入できました。もし吉屋信子が生前にこの作品を読めたなら、自分の小説への極上のオマージュと受け取り、すごく喜んだかも、と思ったりもしました。歴史に興味のある方はもちろん、ない方でも一種の異世界ドラマとしても楽しめると思います。この壮大な世界観に触れてみることを、ぜひお勧めします。

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かふー さん
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