このレビューはネタバレを含みます▼
作画は美しいし、コマ割りなどもわかりやすくテンポがよくて、コミカライズとしては素晴らしいと思う。エルの正体や事件の本当の黒幕など推理物としても楽しめた。謎が回収されなかった部分は原作小説でも謎のままなのだろうか。なにより評価に悩み一番気にかかるのが「なぜ主人公がそこまで愛されるのか」という点。私には「主人公だから(そういう物語=運命だから)」としか思えず、作品の主題と矛盾していると感じられる。平民降格後はともかく、他人をゲームのキャラとしか見ていなかった公爵令嬢だった頃の彼女が「本物の愛を向けるに足る人格者」に見えていたとするなら、それこそ現実離れしたカリスマという主人公補正ではないのか。完璧令嬢レディローズが他人に無償の愛を与えた等の描写があるなら納得もできるのだが……