覇者の玉杯―落日の華―
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覇者の玉杯―落日の華―

日輪早夜

覇者と王と祝杯

2012年2月21日
歴史・戦物が大好きなので購入。

ストーリーは、総督・真ソオ(←私の携帯では漢字変換は無理でした…)が滅ぼした国の王の忘れ形見である主人公・樹雨を大切に育てるものの、美しく成長した彼を無理矢理抱いた事により恨まれ、樹雨の悲願の国奪還・彼への復讐が始まるという内容。

設定はベタながら好きなお話です。
が、読んでみて思った事は真ソオは心理描写が殆ど無い所為かどうも掴みにくい人物。
彼の実弟で腹心の青砥がそれを補う様に心理描写が多く描かれているが、実際の所は真ソオは言っている台詞そのものが本音なのではないかと思う。
これはあくまで私的観測なので、読み手が彼の真意をどう汲み取るかがポイント。

この作品は最初から最後まで真ソオ×樹雨しかカップリングが無いので一つのカプに集中したい方にはお勧めですが、真ソオと樹雨が親子の様に仲良しな序盤、樹雨が成長した中盤から一気に愛憎劇に変わるので、この激しいギャップをどう思うかで好みが別れると思われます。

樹雨本人すらも困惑している真ソオへの愛・恨みが表裏一体している想い。
己の地位や命すらどうでもよいと本気で言っているのに、樹雨にだけは異常なまでに執着する真ソオの歪んだ想い。
好きな方には堪らないシチュエーション。

全9話ですが、1話辺り平均100ページとかなり長めなので読み応えはあります。
この二人の迎える結末が何を示すか・どう思うかは人それぞれでしょう。

最後に。

青砥は軍人としても人間としても素晴らしい人でした。
私的にこの人が物語の裏主人公ではないかと。
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