フリップ・フリップ・スローリー
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フリップ・フリップ・スローリー

オオタコマメ

静かに進む、狡い大人の恋愛

ネタバレ
2022年10月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さんでしたが、他の作品の評価が高かったので、読んでみようと思いました。
図書館司書の康太と、大学の非常勤講師の八月一日(やぶみ)の、11歳差恋愛。本を愛する二人が紡ぐので、文学を読んでいるようでした。特に何かが起こるのではないけれど、それぞれが抱える葛藤や逡巡、恋愛の駆け引きが、穏やかなストーリーの中で展開していきます。年上のやぶみは、自分で言うように卑怯、ズルい大人です。同じゲイの先輩として自分が体験してきた事を、窮屈に生きているように見えた康太に投影しても、ゲイという以外別人なのに。狡くて、ダメと言いつつ網をかけてる…、ホント狡い男です。でも、それも含めてやぶみは魅力的、康太が恋に落ちちゃうのも当然。やぶみに振り回されても、それにしっかり挑んでいく康太の、素直さや男らしさが気持ちいい。康太は近い将来、やぶみの上を行くでしょう。二人の初めてのKissの場面が、とっても好きです。
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