このレビューはネタバレを含みます▼
最愛の妹メリーベルを失い天涯孤独となったエドガーは、どこか妹の面差しに似た少年・アランを『ヴァンパネラ“ポーの一族”』へ迎え入れます。
…永久に美しい少年の姿をしたエドガーとアラン。
永い歴史の中に伝説のように断片的に残る彼らの足跡…。
しかし、確かに彼らと出会い束の間の時をすごした人々の鮮やかな記憶の欠片を遡り繋ぎ合わせると、そこに『エドガーという少年とその妹メリーベル』の奇跡のような一つの悲しい物語“原点”が浮かびあがってくるのです……。
何度読んでも、緻密に計算されたストーリーと繊細な心理描写に唸らされます。
エドガーの計り知れない絶望と孤独を想うと、心が震え胸が痛くなります。
近年特に吸血鬼ブームで国内外問わずあらゆる作品を目にしますが、四十年近くも昔にこれほど完成度が高く、今なお他の追随を許さない名作を描きあげた当時の萩尾望都の早熟さに改めて驚かされます。
子供の頃に読んだ時は、薔薇の咲き誇る“ポーの村”とエドガーは現実に存在しているのでは…?と夢想したものです😃
この奇跡のような作品に巡り会えた事は私にとっての悦びです。