リトルローズハウスへようこそ
」のレビュー

リトルローズハウスへようこそ

幸田みう

ふわふわな雰囲気に隠されたドロドロ

ネタバレ
2022年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ ☆5〜3の評価しかなかったから安心して購入したが私には全く合わなかった。

合わなかったポイントは2つ。1. メイン二人に魅力が見えず好きになれない 2. 最終的に全部いい感じに正当化されている / 高評価レビューでは「癒される」「かわいい」「草花や風景が美しい」といった意見が多かったので美術面や柔らかな雰囲気など作家さんのセンスが魅力なんだと思う。確かに欧州映画のようで素敵な部分も多い。

◇まずノアが独善的で怖い。自分は思い入れがあるかもしれないが隆一にそれを隠して急にキスしたり迫ったりする。「まっさらな目で知ってほしい」も何も7年も前にほんの一瞬会話しただけの関係性しかなくそこを伏せる意味が本当に分からないし、まっさらに見てほしい割にやってることはただのセクハラ。望む反応が得られないと拗ねて冷ややかな態度をとったり責任転嫁して逆ギレしたり、円滑にコミュニケーションが取れないモラハラ男。自分のやりたいことを通そうとするあまり隆一の気持ちは二の次。

一方の隆一も主体性ほぼゼロの流されマン。極力人と関わらないようにしてるはずがちょっと迫られたくらいでセクシュアリティ範囲外の相手とあっさり関係を持つし、憧れの人から仕事で声かけてもらって日本に帰るって時に直前になって反故にするし、元経営者とは思えないブレブレで無責任なキャラ。

◇そして二人とも非常識な行いに大して葛藤している様子がなく「好き」のためなら何をしても許されるみたいな世界。キャラが全員いい奴である必要はないけどノアと隆一は憎まれ役ではないのだからやっぱりどこかに魅力がほしい。しかし彼らのダメな部分の扱いが「開き直っていて改善する気がない」とか「ダメな部分も受け入れる」とかではなく「悪いところなんかない」と正当化されている感じでモヤモヤが残り好きになれなかった。

◇一旦くっついたけどノアは些細なことで嫉妬して隆一の気持ちそっちのけで束縛しそうだし、そんなノアに疲れた頃合いで優しく強引に口説いてくる相手が現れたら隆一は流されてふらふらとそっちに行きそうだし、幸せな将来が見えない。

◇上記のとおり☆1として評価したが表面的にはふわふわと見せかけて本質はドロドロというのが意図された作品なのであれば☆5。傑作だと思う。
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